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神戸情報大学院大学(KIC)広報戦略再構築プロジェクト

独自の提供価値をもつ「専門職大学院」の広報戦略再構築

社会で必要とされる高度で専門性の高い職業人を育成する「専門職大学院」。神戸市中央区にキャンパスを構える神戸情報大学院大学(KIC)は、神戸電子専門学校を運営することで知られる学校法人コンピュータ総合学園が2005年に開学した専門職大学院です。これまでに、国内はもちろん80カ国を超える国々から学生を受け入れ、高度ICT人材を輩出してきた実績をもつKIC。国際協力機構(JICA)理事長賞を受賞するなど、高い外部評価も得ています。

開学から15年以上が経過し、社会環境も大きく変化するなか、物理的な通学なしで2年間リアルタイムで授業履修を行える「フルオンライン履修制度」を導入するなど新たな取り組みを進めるKIC。今後も持続的に国内外から学生が集い、社会・ステークホルダーに貢献し求められる学校であり続けるため、広報戦略再構築の必要性も認識していました。オズマピーアールは2021年7月から、日本国内を対象とした広報戦略再構築の支援に取り組みました。

広報戦略

KICの提供価値を伝えるキーメッセージとブランドコンテンツ作り

「Social Innovation by ICT and Yourself」というスクールミッションを掲げるKIC。プロジェクト開始時の打ち合わせで特に印象的だったのが、世界銀行やJICAでICT・イノベーション分野の実務経験を積み重ねてきた内藤智之副学長の「我々は、メジャーを輩出する最高峰のインディーズ大学院を目指していく。」という言葉でした。

この言葉が意味するのは、学校の歴史は2005年設立とまだ浅く、定員数も少数であるが故に全国的な認知度は高くない(=インディーズ)が、国内外で課題解決に取り組むクオリティの高い「高度ICT人材」(=メジャー)を多く輩出しているということ。客観的な評価の高さも、同校のポテンシャルの高さを示していました(「私立580大学のサバイバル能力」において全国580私立大学中第1位(週刊誌AERA/2017年11月27日号)、国際協力機構(JICA)理事長賞受賞など)。

この特色を広報活動においてどのように活かしていくか、KIC担当者様と幾度も打ち合わせを重ねる中で「Social Innovation by ICT and Yourself」というミッションに込めた意味・想いを改めて問い直し、さらに進化させ、「メジャーを輩出する最高峰のインディーズ大学院」を目指すKICの提供価値をよりシャープに言語化すること、そして、その価値を発信するKIC独自のブランドコンテンツ作りが重要であるという方向性を定めました。

困難な課題=現実を打破する武器(技術)を与えることができる場所

KICのミッション「Social Innovation by ICT and Yourself」を紐解くためのきっかけとなったのが、多種多様なキャリアを持った日本人の在学生へのインタビューでした。20~40代と年齢層も幅広い学生のみなさんは社会人経験のある方が多く、「社会課題を解決したい」という熱量が共通してありました。そして、社会課題を解決したいという想いは人一倍強いけれども今の自分の力では難しいというモヤモヤを感じていたり、社会人として壁にぶつかった経験を糧に、KICで学ぶことを決意したという学生もいました。

このような想いをもった学生が、KICの学びによって「仮説検証を繰り返し、現場で結果に結びつける『探究実践力』」「ICTについての知識や技術、開発経験」「ビジネスや課題解決にICTを利活用する力」という3つの力を2年間の履修を通して獲得し、ICTスキルを利活用できるビジネスリーダーや、ICTスキルを有するエンジニアとして活躍しています。

KICで獲得できる3つの「技」と育成する2つの人材像(公式WEBサイトより)

「社会課題の解決は決して綺麗ごとではなく、困難な課題(=現実)に直面し、向き合うことを意味する。課題を打破すると決意した学生たちが、力となる武器=ICTの技術を手にすることができる。その場所こそがKICであり、メジャーを輩出する唯一無二のインディーズ大学院大学である」という方向性が在学生インタビューや、KIC担当者様との数多くのディスカッションにより見えてきました。 

このような過程を経て、KICが提供する価値を「現実を打破できる」という力強いワンフレーズに込め、このコンセプトを軸に広報戦略・広報施策を組み立てていきました。

KICが提供できる価値をワンフレーズに込めた提案資料

ブランドアクション

KICの提供価値を伝えるオウンドメディア
『KiCK BRAiN』

自身も社会で活躍する実務家教員や、国内外の社会課題解決の現場で活躍する卒業生を有するKICの価値を発信するためには、その企業・組織が主体となった「インサイドアウト(自社視点)」の情報発信だけではなく、KICの提供価値に共感する生活者の視点・目線に立った「アウトサイドイン(社会視点)」の情報発信が重要であると考えました。

そこで、KICの提供価値「現実を打破できる」を伝えるための「アウトサイドイン(社会視点)」のブランドアクションとして、オウンドWEBマガジン『KiCK BRAiN』を新たに構築しました。

KICが提供する価値が「現実を打破する力を得られる場所」であるならば、WEBマガジンの価値は「現実に影響させることができる情報=知識と出会える」ことや、「自分の課題を突破できる武器(技術)が何なのかに気づく」こと。社会課題の解決に興味を持つ人へ一歩前に踏み出すきっかけとなる場を目指し、世界のリアルな今とこれからを独自の視点で切り取った、“武器”となる情報を展開するオウンドメディアを目指しました。

オウンドメディアのコンセプト/ネーミング/デザイン・クリエイティブを決めるため、KIC担当者様との話し合いの中で度々登場したのが、「インディーズ感」や「泥臭さ」というキーワードでした。

ICTという言葉はスマートな印象がありますが、ICTを活用した課題解決は、実際には汗をかきながら知識と探究心で壁を突破していく、泥臭い仕事である。KIC担当者様から得たこのインサイトをもとに構築していったのが、WEBマガジン『KiCK BRAiN(キックブレイン)』です。KICにK(Knowledge=知識)を足して現実を打破する=キックというネーミングだけでなく、ノイズがかかった見せ方で、脳が揺れるほどの衝撃を表現しました。

KICの提供価値や姿勢を、KiCK BRAiNのコンセプト・ロゴマーク・テキストに込めた

2022年3月にサイトを公開し、KICの教員や卒業生、さらにはKiCK BRAiNのコンセプトと合致する経営者や社会企業家のインタビュー記事などを制作・公開しています。

独自メタバース・プラットフォームを開発するmonoAI technologyの取材時の様子
メタバース上で取材を行った

まとめ

以上のような広報戦略の再構築のプロセスを経た現在、KICのWEBサイトトップページには『ICTを武器に、世界の課題を解決する』という力強い言葉が中心に据えられています。

ICTを武器に、世界の課題を解決する(公式WEBサイトより)

発信する情報の変化によって社会課題解決に興味を持つ人びとがさらにKICに集い、ICT・探究実践力という「現実を打破」する武器を手にいれた卒業生たちが社会で活躍し、社会課題に立ち向かい解決する。そのサイクルがどんどん大きなうねりとなっていく。KICの担当者様と並走して進めていった今回の広報戦略再構築のプロジェクトが、KICが目指す次のステージの礎になることを願っています。

■神戸情報大学院大学
https://www.kic.ac.jp/


■KiCK BRAiN~今を打破する『知識』を発信するWebマガジン~
https://kickbrain.kic.ac.jp/

プロジェクトメンバー

関西支社 コミュニケーション・プロデューサー
久保田 敦

水族館開業時の広報部門立ち上げなどの経験を経て、オズマピーアール入社。関西支社にてさまざまな業種・領域の企業・組織のパブリックリレーションズ業務推進に携わり、現在に至る。特にクライアントが取り組む社会課題をステークホルダーも巻き込んで共に解決する中長期のプロジェクト推進に強みを持つ。

関西支社 コミュニケーション・ディレクター
田中 日奈子

オズマピーアールに新卒入社以来、製薬企業、医療法人、医療系学会等のヘルスケア分野を中心に広報PR活動に従事。2017年より関西支社に異動し、財団法人、製薬企業、自治体、大学等の業務推進を担当し、現在に至る。​特に新聞や専門誌の記者ヒアリング活動等メディア向け施策や有識者とのリレーション構築活動の経験が多く、アカデミア(研究者)を巻き込んだ啓発活動を得意とする。

関西支社 シニア・アソシエイト
川端 里歩

2016年 東京本社入社後、商業施設やホテル開業、美容・消費財を担当。2019年 関西支社異動後、大学・教育機関や官公庁、地方自治体を担当。双方で培った幅広い知見やリレーションを生かし広報戦略策定から実務まで一貫して対応。伴走者としてクライアントに寄り添い走り抜くこと、仕事を通じて社会課題の解決に繋げていくことを大切にしている。

▼『KiCK BRAiN』制作パートナー
BRANDING / ART DIRECTION / DESIGN / DEVELOPMENT
HAREBARE inc クリエイティブディレクター 壽山 吉隆
PHOTO エイセス 田村 直史

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